1990年代、日本中を熱狂の渦に巻き込んだ平成の大相撲ブーム。その中心にいたのが、外国出身者として初の大関昇進、そして歴史的な頂点へと上り詰めた第64代横綱の曙だった。圧倒的なリーチを生かした突き押し相撲は脅威であり、土俵上に君臨するその姿はまさに難攻不落の要塞そのものだった。
当時の大相撲界を熱く滾らせた最大の原動力は、若乃花・貴乃花光司の兄弟との壮絶なライバル関係である。特に貴乃花との対決は、単なる勝敗を超えた精神と技のぶつかり合いであり、日本中の国民がテレビの前で息をのんだ。満身創痍の膝の痛みに耐えながら土俵に立ち続け、横綱としての矜持を守り抜いた姿は、今なお角界の語り草となっている。