デジタルアーカイブや写真集の復刻により、近年改めて岸恵子さんの若い頃の写真が再注目されています。切れ長の涼しげな瞳、筋の通った高い鼻梁、そして凛とした佇まいは、現代の美の基準に照らし合わせても完璧なプロポーションと洗練さを誇っています。
1932年に横浜で生まれた岸恵子さんは、神奈川県立横浜平沼高等学校に在学中、読書とバレエに熱中する文学少女でした。小森和子さんの紹介で松竹の大船撮影所を見学した際、その並外れた美貌が映画関係者の目に留まり、スカウトされたことがデビューの契機となります。本人は当初、本格的に映画界へ入るつもりはなく「作家になりたい」という強い知的好奇心を抱いていましたが、1951年の映画『我が家は楽し』で銀幕デビューを飾ると、瞬く間にトップスターへの階段を駆け上がりました。