ネット上の言説で頻繁に見られる誤解が、「株式会社嵐を作ったのだから、STARTO ENTERTAINMENTから完全に独立した」「メンバーの自由意志だけで明日からでもライブができる」という論調です。これは芸能マネジメントと権利ビジネスの実態を見落とした短絡的な見方です。
株式会社嵐の設立目的は、独立ではなくグループの肖像権、商標権、そして活動方針に関する主導権をメンバー自身が握ることにあります。過去の膨大な楽曲カタログの原盤権や音楽出版権、ファンクラブの運営プラットフォームはSTARTO社が管理基盤を有しており、同社との包括的なエージェント契約が前提となっています。
二宮和也は個人事務所「オフィスにの」を設立して個人活動を完全独立させましたが、嵐としての活動は株式会社嵐を通じて行うと明言しています。松本潤も個人としては独立の道を選びました。このように、各メンバーが個人のキャリアを担保しながら「嵐」という巨大艦隊を共同運航する形態をとっているため、全員のスケジュール調整だけでも民間企業のM&A並みの高度なすり合わせが求められます。新会社があるから即座に動けるのではなく、利害関係を壊さずに慎重に事を進めるための防波堤こそが株式会社嵐の真の機能です。
大野智の現状と「復帰の可能性」を巡る客観的ファクト
キーマンである大野智の現状について、週刊誌等の報道では沖縄でのリゾート事業への参画や飲食店経営などが取り沙汰されてきました。しかし、関係者の証言を一貫して総合すると、大野自身は芸能界への未練を強く抱いているわけではないものの、「嵐というグループを自分から終わらせる気はない」という強い愛着を持っています。
2020年末のラストライブ『This is 嵐 LIVE』の終盤、大野が流した涙と「いつかまた、人のためになれるように」という言葉は、決して引退宣言ではありませんでした。完全なる芸能界復帰ではなく、「嵐のケジメとしてのラストラン」、あるいは「年1回の限定的なステージ」という形であれば、大野がステージに戻る動機付けとして十分に現実味を帯びています。