シドニーの歯科医院の水槽に暮らす「タンクギャング」は、ペットショップ出身の仲間たちと、唯一海から連れてこられたリーダー・ギルによって統率されています。
ギルのモデルとなった魚種は、白・黒・黄色の縞模様と長く伸びた背ビレが美しいツノダシ(Moorish Idol)です。ツノダシは非常にデリケートで人工環境下での飼育が極めて難しい海水魚として知られており、作中でギルが執念深く海への脱出を企てる背景には、そうしたリアルな生態的背景が隠されています。
その他にも、極度の潔癖症であるアカシマシラヒゲエビのジャック、泡に異常な執着を見せるキイロハギのバブルス、自分の影を妹だと思い込むスジタテガテスズメダイのデブなど、狭い水槽環境が生んだユニークな住人たちが物語を盛り上げます。
外洋でマーリンたちを震え上がらせるサメのトリオ、そのリーダーであるブルースは巨大なホホジロザメです。「魚は友達、エサじゃない」をスローガンに魚食断ちのセラピーを開くコミカルな一面を持ちつつも、ひとたび血の匂いを嗅ぐと野生の本能を剥き出しにして暴走する二面性が強いインパクトを残しました。そして水槽サイド最大の脅威として描かれるのが、乱暴に魚を扱う歯科医の姪・ダーラであり、彼女の来院日が脱出劇のタイムリミットとなります。