世間が「外交官は高給取り」と口を揃える最大の根拠が、海外の日本大使館や総領事館に勤務する際に支給される「在外手当」です。これは「在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律(在外給与法)」に基づいて支給されるもので、最大の法意は「海外での過酷な任務遂行と生活維持、日本の代表としての品位保持」にあります。
在外手当の代表格である「在勤基本手当」は、勤務地の物価水準、治安、為替レート、生活環境の困難度に応じて国・都市ごとに細かく号給が設定されています。そして極めて重要なのが、この在外公館勤務手当は所得税法上「非課税」として扱われる点です。
例えば、ニューヨーク、ロンドン、ジュネーブといった物価が極めて高い主要都市や、治安リスクが極度に高い紛争国・途上国に赴任した場合、月額50万〜100万円を超える在勤基本手当が国内の基本給に上乗せして支給されます。さらに、配偶者手当、子女教育手当、過酷な生活環境に対する「特勤手当(ハードシップ手当)」が加算されるため、30代半ばの中堅職員であっても海外勤務中は外交官年収2000万円相当(手取りベースでは民間企業の額面年収2500万円以上に匹敵)に達するケースが珍しくありません。
加えて注目すべきは外交官の住居手当の実態です。外交官は私邸に各国の要人や外交団を招いて意見交換を行う「レセプション外交」の役目を担うため、一定基準以上の広さとセキュリティを備えた住宅に居住することが義務付けられています。そのため、家賃上限額の範囲内であれば家賃の大半(8〜9割程度、国によっては全額近く)が国費で補助される制度設計となっており、自己負担を最小限に抑えながら治安の担保された高級アパートメントに居住することが可能になっています。