ネット上の陰湿な犯罪を描いた社会派ミステリーの小説や映画は、かつて現実離れしたサイバースリラーとして消費されていた。しかし、現実の事件がフィクションの描写を過激さで上回り始めるという、逆転現象が起きている。
事実を追う報道ジャーナリズムに求められるのは、単なる猟奇的な事件の消費ではなく、事件の背景にある社会の歪みや技術の悪用構造を解明することだ。被害者が被る精神的トラウマや二次被害の実態、そして犯罪を未然に防ぐための社会的知見を広く示すことが急務となっている。
事件の裏側を取材したドキュメンタリー番組などは、画面の向こうで起きている脅威が誰にとっても他人事ではないことを告発している。個人の尊厳をネットの悪意からいかに守るかという課題は、現代社会全体に突きつけられた重い問いだ。