山手イタリア山庭園の見どころを深く味わうには、まずその土地に刻まれた重厚な歴史的背景を知ることが欠かせません。横浜市環境創造局の公認史料および現地記録によると、この丘陵地は1880(明治13)年から1886(明治19)年までイタリア領事館が置かれていた場所でした。領事館が移転した後も地元住民の間で「イタリア山」という愛称で親しまれ続け、1993(平成5)年に横浜市が敷地を取得・整備し、現在の都市公園として一般公開されたという経緯があります。
庭園の最大の特徴は、イタリア・ルネサンス様式を取り入れた幾何学式庭園の造形美です。テラス状に整備された敷地には、水をたたえる水路や噴水、シンメトリーに刈り込まれたコニファー(針葉樹)や四季の花壇が整然と配置されています。高台の先端からは横浜ベイブリッジやみなとみらい21地区のスカイラインを遠望でき、クラシカルな西洋庭園と近代的な港町が重なり合う唯一無二のパノラマが広がります。
また、春と秋には花壇が一層の華やぎを見せます。特に山手イタリア山庭園のバラ開花時期(春:5月中旬〜6月上旬、秋:10月中旬〜11月中旬)には、芳醇な香りを放つオールドローズやモダンローズが咲き誇り、煉瓦敷きの歩道と純白のアーチを鮮やかに彩ります。建築と植栽の黄金比が織りなす空間美こそ、この地が多くの旅人を引き寄せる最大の理由です。