船越保武の血脈と芸術精神は、その子どもたちへも鮮やかに受け継がれました。なかでもクスノキの木彫に彩色を施し、静謐な大理石の眼球を埋め込んだ半身像で世界的な評価を確立した長男・舟越桂との父子関係は、日本美術界において特別な輝きを放っています。
舟越桂氏は生前、厳格でありながら常に芸術に対して真摯だった父の後ろ姿から、人間を見つめる眼差しと素材への敬意を学んだと語っていました。父・保武がブロンズや大理石、砂岩のなかに精神性を追求したのに対し、息子・桂氏は木彫という異なる媒体を選びながらも、根底に流れる静寂と人間存在の深淵を見つめる姿勢は見事に共鳴しています。
さらに、次男の舟越直木氏も彫刻家・画家として独自の抽象表現を展開するなど、舟越家は昭和から平成、そして令和に至る日本の立体造形界を牽引する類まれな表現者一族として知られています。