語源をさかのぼると、この言葉は植物の「あく」に由来する。灰汁(あく)が強くて喉や舌をさすような刺激、すなわち「えぐみ」を感じさせる状態を指していた。古くから日本の食文化や日常雑話の中で用いられ、味わいの不快感や苦痛を表現する語彙として定着していた歴史がある。
さらに時代が下るにつれて「人の行動や事態が情け容赦なく、見ていて胸が痛むほど過酷である」という客観的な人間模様や状況描写へと用法が広がっていった。文化庁が実施する国語に関する世論調査などでも、こうした言葉の意味変化や受容の推移はたびたび議論の対象となっている。本来は決して心地よい状態を意味する言葉ではなく、むしろ目を背けたくなるような現実の生々しさを切り取るための刃のような表現だったのだ。