視聴者に最も強い衝撃を与えたのが、俗に「NHK津波映像の謎の白い影」と呼ばれる動画です。市街地を濁流が呑み込む瞬間に、煙のような白い柱状の物体が、家屋の屋根を飛び越えるようにして画面奥へ向かって驚異的な速度で移動していく様子が確認できます。
映像解析の専門家や防災科学技術研究所などの有識者チームによる詳細な検証の結果、この「津波映像の白い巨人」には明確な科学的根拠が提示されています。その正体は、津波の凄まじい水圧によって市街地の地下や側溝に閉じ込められた空気が、マンホールや排水溝から一気に地上へ噴き出した「圧縮空気と水蒸気の爆裂現象」です。
濁流の先端がパイプラインや暗渠(あんきょ)を猛烈な力で塞ぎながら前進すると、内部の空気が数気圧から数十気圧まで圧縮されます。逃げ場を失った高圧ガスが地上に開いた穴から連続して大気中へ噴出する際、断熱膨張によって急激に冷却され、白い煙(水蒸気)の柱となって視覚化されます。水圧の移動に伴って噴出箇所が次々と移動するため、まるで「白い柱状の巨人が街を疾走している」ように見えたのです。
さらに、津波によって流された小型船舶や大型コンテナが水門や堤防に激突した際に巻き上がった猛烈な波しぶき(キャビテーション現象)が、カメラの圧縮効果によって二足歩行の巨人のように誤認されたケースも確認されています。したがって、オカルト的な存在ではなく、岩手地震における巨人の正体は極めて破壊的な流体物理現象の産物でした。