精密機器であるスマートフォンにおいて、熱が発生するプロセスは物理的・化学的に明確な理由が存在します。スマホ発熱の理由を大別すると、演算処理を担うプロセッサ(SoC)の発熱と、電源を司るリチウムイオンバッテリーの発熱の2点に集約されます。現在普及している高性能スマートフォンは、ノートパソコン匹敵の処理能力をわずか数ミリの極薄ボディに凝縮しており、内部ファンによる排熱機構を持たないファンレス構造が基本です。そのため、内部で生じた熱はボディ表面をヒートシンク代わりにして外部へ逃がすしかありません。
とりわけ多くのユーザーが直面するのが、充電中に熱くなる原因です。昨今主流となった30W〜100Wを超える急速充電技術は、短時間でバッテリーを満たすために大電流を送り込みます。この際、リチウムイオン電池の内部抵抗によって電気エネルギーの一部が不可逆的に熱エネルギーへと変換されるため、充電中の本体温度上昇は避けられません。さらに最悪なのが、充電ケーブルを挿したまま負荷の高い動画視聴やオンライン対戦ゲームをプレイする「ながら充電」です。給電による化学発熱とプロセッサの稼働熱が二重に重なり、内部温度は一気に危険水域である50℃近くまで急上昇します。
また、CPU負荷とアプリ強制終了の連鎖も見逃せません。バックグラウンドで多数のアプリが位置情報やデータ同期を行っていたり、システムOSのバックアップや高精度な画像認識AIが稼働したりすると、CPUやGPUはフル稼働状態を強いられます。プロセッサは過熱による自己破損を防ぐため、クロック数を意図的に落とす「サーマルスロットリング」を実行し、それでも熱が収まらない場合はアプリを強制終了させてシステムを保護しようとします。操作が突然重くなったり、画面がカクついたりするのは、端末が悲鳴を上げている明確な防衛反応なのです。