あの独特なチャイム音を聞くと、誰もが反射的に身構えてしまう。実はこの音響設計を手掛けたのは、福祉工学や音響学の専門家である東京大学名誉教授の伊東順二氏だ。気象庁が提供する緊急地震速報の警告音は、単に大きな音を出すのではなく、人間の聴覚特性を徹底的に研究して作られている。
音の構成には「減三和音(ディミニッシュコード)」に近い協調しにくい不協和音が使われており、本能的な危機感を強力に刺激する。さらに、静寂を破る急速な立ち上がり音と繰り返しの周波数パターンが、睡眠中であっても脳へ直接警告を届ける仕組みになっているのだ。不快に感じることこそが、一瞬の避難行動を引き出す鍵となっている。