撮影当時の裏話は、まさに映画本編に匹敵するドラマに満ちていた。当時すでに90歳を超えていたリリアン・ギッシュと、脳卒中を克服し右目の視力と聴力を半ば失っていた70代後半のベティ・デイヴィス。二人の巨星が現場で見せたプロフェッショナリズムは、ときに殺気立った緊張感を生み出した。
デイヴィスは妥協を許さない性格で知られ、ギッシュの自然体で控えめな演技スタイルに対しても容赦なく自身の主張を叩きつけたという。しかしギッシュは静かに微笑みながら、それをすべて包み込んだ。「彼女はいつも叫んでいるけれど、それがベティの愛し方なのよ」――後年、ギッシュが漏らしたこの言葉に、現場の真の空気感が凝縮されている。対立と尊重。背中合わせの敬意が、劇中の老姉妹の複雑な愛憎関係に見事なリアリティを与えたのだ。