競馬界における収入の最大の分水嶺、それは所属する団体の違いにある。国内の競馬は、農林水産省が管轄する日本中央競馬会(JRA)と、各地方自治体が運営する地方競馬全国協会(NAR)の二つに大別される。この二者の間には、埋めがたいほどの収入の崖が存在する。
JRAに所属する厩務員の平均年収は、およそ800万円から1,000万円前後に達すると言われている。30代後半で年収1,000万円を超えるケースも決して珍しくない。これに対し、地方競馬全国協会(NAR)傘下の厩務員の平均年収は300万円から500万円程度にとどまることが多い。同じ「競走馬の世話をする職業」でありながら、年収ベースで2倍以上の差が開くのが競馬業界の厳しい現実だ。
なぜこれほどの年収格差が生じるのか。理由はシンプルで、レースの規模と開催規模、そして投じられる馬券売上金のケタが違うからだ。JRAは世界有数の売り上げを誇る競馬団体であり、主催者が支払う基本給手当や賞金水準が格段に高い。一方、地方競馬は経営体質が徐々に改善しているとはいえ、賞金総額の差がそのままスタッフの給与差となって跳ね返ってくる。