「気になる新刊があるけれど、高いから文庫化されるまで待とう」と判断する読者は少なくありません。しかし、ここには出版不況下の実情を踏まえた重大な落とし穴が存在します。
結論から言えば、すべての単行本が文庫化されるわけではありません。文庫化には一定の売上見込み(重版実績や知名度)が必須であり、初版止まりで需要が限定的だった専門書、ニッチなノンフィクション、翻訳小説などは、文庫化の俎上にすら載らないまま絶版(品切れ重版未定)となるケースが多発しています。SNS上でも「文庫化を5年間待っていたら、単行本自体が市場から消えてプレミア価格になってしまった」という嘆きの声が後を絶ちません。
また、単行本に掲載されていた豪華なカラーイラスト、詳細な巻末参考文献、特殊な装幀デザインなどが、文庫化の際にコスト削減の都合でモノクロ化されたり割愛されたりする事例もあります。作品の美術的・資料的価値をフルスペックで享受したい場合、文庫を待つことが裏目に出るリスクは常に念頭に置くべきです。