かつてのアナログ放送時代、画面越しのタレントの細かな歯のグラデーションまでを気にする視聴者はほとんどいなかった。しかし、技術の進化は残酷だ。毛穴はおろか、歯のエナメル質が帯びるわずかな縞模様やグレーの沈着までが克明に描写されるようになった。
テトラサイクリン歯とは、1960年代から70年代にかけて広く処方されていたテトラサイクリン系抗生物質を、歯の形成期である乳幼児期から8歳前後に服用したことで生じる変色歯を指す。骨や歯のカルシウムと薬剤が結合し、紫外線に反応して濃い黄褐色や暗灰色へと変化していく。病気ではない。痛みもない。だが、見た目の心理的負担は計り知れない。
清潔感や若々しさがダイレクトに好感度へと直結するエンターテインメント業界において、口元のコンプレックスは致命的な足枷になり得る。だからこそ、多くのスターたちが人知れず治療台へと向かったのだ。