沢口靖子は1984年、第1回「東宝シンデレラ」で応募総数3万1653人の中から初代グランプリに選ばれ、鮮烈なデビューを飾りました。NHK連続テレビ小説『澪つくし』(1985年)でヒロインを務めた若い頃は、可憐な美貌で日本中を席巻し、数多くの著名人がファンを公言しました。そうした中で、過去にいくつかの熱愛の噂や大物との関係が取り沙汰された歴史があります。
最も世間を騒がせたのが、かつて西武鉄道グループの総帥として君臨した実業家・堤義明氏との関係です。当時、沢口靖子がプリンスホテルのテレビCMやキャンペーンガールに長期起用され、西武グループ関連のイベントに多数出演していたことから、写真週刊誌などを中心に「パトロン関係ではないか」「愛人関係にあるのではないか」というセンセーショナルな疑惑が報じられました。
しかし、この噂を冷静に検証すると、実態は東宝と西武グループという巨大企業同士の強固なビジネス提携の一環であったことが分かります。東宝の看板女優を西武グループの顔として起用するプロモーション戦略が、当時のバブル景気の過熱感と相まって、根拠のない愛人説へと歪められて流布したのが実情です。プライベートでのツーショット写真や密会報道といった決定的証拠は、当時から現在に至るまで一度も確認されていません。
このほかにも、映画やドラマで共演した実力派俳優の阿部寛や、楽曲提供に関わった音楽プロデューサーの松任谷正隆らの名前がネット上で取り沙汰されたことがあります。しかし、これらはいずれも共演時の息の合った演技や音楽制作上のリスペクトが誇張されたものに過ぎず、真剣交際へと発展した客観的証拠は皆無です。デビュー以来、厳格なマネジメント方針を徹底してきた東宝芸能のガードの堅さもあり、決定的な熱愛スクープを許すことはありませんでした。