川田亜子さんは1979年、石川県金沢市の裕福で厳格な医師の家庭に生まれました。白百合女子大学文学部を卒業後、2002年にTBS(現TBSテレビ)へアナウンサーとして入社。同期には後に報道キャスターとして高く評価される竹内香苗アナウンサーらがおり、互いに切磋琢磨しながら頭角を現していきます。
入社初期は『ベストタイム』や『エクスプレス』などの情報番組を担当し、その後『はなまるマーケット』や選挙特番『乱!総選挙2005』などで安定したアナウンス力を披露しました。しかし、彼女の知名度を一気に全国区へと押し上げたのは、バラエティ番組『Goro's Bar』へのレギュラー出演でした。番組内で見せる少し不器用で生真面目なキャラクターが「いじられ役」として視聴者の支持を集め、バラエティタレントとしての需要が急増したのです。
しかし、この成功こそが彼女の内面に深い葛藤を生み出す契機となりました。川田さんは本来、ニュースの現場で事実を伝える硬派な報道キャスターを志向していました。バラエティ番組で求められる「おどけた振る舞い」や「私生活の切り売り」と、自らが目指すアナウンサー像との乖離に苦しんだ彼女は、より広い活躍の場を求めて2007年3月にTBSを退社。大手芸能プロダクション系列の事務所へ移籍し、フリーアナウンサーへと転身を遂げます。
フリー転身直後、テレビ朝日系の情報番組『サタデースクランブル』のキャスターに抜擢されるなど、表向きは順風満帆に見えました。しかし、後ろ盾のないフリーランスとしての重圧は局アナ時代の比ではありませんでした。番組内でのコメントや立ち振る舞いに対する視聴者の厳しい視線、過密日程による慢性疲労、そして自身の理想とするジャーナリズムとの乖離が、彼女の精神を着実に蝕んでいったのです。