フランス国旗の色の意味を問われた際、多くの人が思い浮かべる「青=自由、白=平等、赤=博愛」という解釈。実のところ、フランスの現行憲法第2条第2項には「国の象徴は、青・白・赤の3色旗である」と明記されているのみで、各大統領令や公的法典のどこにも各色の思想的割り当ては定義されていません。
歴史的な事実として、フランス国旗トリコロールの由来は1789年7月に勃発したフランス革命の現場にあります。バスティーユ襲撃の直後、パリの武装市民部隊(国民衛兵)を率いたラファイエット将軍は、パリ市のシンボルカラーであった「青」と「赤」の円形章(コカルド)に、古くからブルボン王朝の権威を象徴していた「白」を挟み込みました。これこそが三色旗の直接的な原型です。
つまり、フランス革命と三色旗の歴史において白を中央に配した真の狙いは、「国王(ブルボン家)と市民(パリ市)が手を取り合う立憲君主制の樹立」にありました。急進的な王政廃止ではなく、当初は王権と市民権力の調和を示す政治的妥協のシンボルだったのです。
では、なぜ「自由・平等・博愛」という図式が定着したのでしょうか。調査を進めると、フランスの国家標語である「Liberté, Égalité, Fraternité」と三色旗が結び付けられたのは、革命から約1世紀が経過した19世紀末、第三共和政の教育現場や対外的なプロパガンダにおいて、覚えやすい理念として重ね合わされた「後付けの物語」であったことが歴史資料から判明しています。フランス国旗自由平等博愛の真相とは、国民統合を促進するために後から創られた教育的レトリックだったのです。