かつては知る人ぞ知る存在だった信太山新開地だが、近年そのベールは剥がされつつある。火付け役となったのは、インターネット動画メディアの隆盛だ。YouTubeで数百万回再生を誇る「丸山ゴンザレスの裏社会ジャーニー」をはじめ、草下シンヤなどのアンダーグラウンドを追うクリエイターたちがこの街に言及したことで、ネット上の関心は一気に跳ね上がった。
さらにABEMAをはじめとする配信プラットフォームでも、特殊飲食店街を取り上げる潜入ドキュメンタリーや社会派ノンフィクション企画が組まれ、かつてのアングラ地帯は一種の「観光スポット」として消費され始めている。スマートフォン片手に街を撮影しようとする若者や配信者が後を絶たず、組合員や店舗スタッフが血相を変えて制止する光景も日常茶飯事となった。
「物珍しさで見に来るのは勝手だが、ここは生きるために働いている女たちの職場だ。面白半分でレンズを向ける連中には本当に腹が立つ」。組合幹部の一人は、メディアによる過熱報道が招いた治安の乱れに対し、強い憤りを隠さない。