「絶体絶命(ぜったいぜつめい)」とは、どうにも逃れようのない、極限まで追い詰められた危険な状態を意味する四字熟語です。文字通り「体が絶え、命が絶える」ほどの窮地を指し、単なる不都合や一時的なピンチではなく、破滅の一歩手前にある状況を克明に描写します。
この言葉のルーツは、古代中国で確立された陰陽五行思想およびそれを基盤とする九星気学・八宅風水(はったくふうすい)などの方位術にあります。方位術の体系では、生気・天医・延年・伏位といった吉方位(吉星)に対し、禍害・六殺・五鬼・そして「絶体(ぜったい)」と「絶命(ぜつめい)」という最悪の凶方位(凶星)が存在します。
占術において「絶体」は肉体の活力が衰え病に伏す方角、「絶命」は生気を完全に断ち切られ死に至る最大凶の方角とされてきました。この二大凶星が重なり合う瞬間こそが、人の力では抗いようのない究極の危機と恐れられ、転じて「絶体絶命」という熟語が成立したと伝えられています。
なお、日常の文章やインターネットの検索窓で頻繁に見受けられる「絶対絶命」という表記は完全な誤用です。「絶対(ぜったい)」という確信を意味する言葉の響きに引っ張られた誤変換ですが、語源である「絶体(肉体が絶える)」を知っていれば、間違えるリスクを根本から防ぐことができます。