「たいと」という文字は中国発祥の漢字ではなく、日本で独自に考案された「国字(和製漢字)」に分類されます。中国の伝統的な辞書である『康熙字典』や『説文解字』にもこの文字の記載はありません。
構成要素である「雲」と「龍」は、東洋の神話や陰陽五行思想において極めて密接な関係にあります。「雲は龍に従い、風は虎に従う」という故事の通り、龍は雲を呼び天へと昇る霊獣の象徴です。雲が3つ重なることで「幾重にも立ち込める雲海」を表し、龍が3つ重なることで「複数の龍が力強く天空を駆け巡る様」を視覚化しています。
つまり、この文字が持つ本来の象意は「雲が棚引き、龍が天を自在に舞い飛ぶ壮大な情景」や、極めて強い吉祥・瑞祥の意味合いです。江戸時代から近代にかけての看板、文人の遊び心(戯れ文字)、あるいは家運隆盛を願って作られた特異なシンボルが文字の形をとったものと考えられます。