JR函館本線の大沼公園駅を降り立ち、広場を抜けて道路を渡るとすぐ、歴史を感じさせる堂々たる木造建築が目に飛び込んできます。七飯町が誇る和菓子の名店「沼の家」は、明治38年(1905年)の創業。大沼が道南の観光地として開かれた黎明期から、旅人をもてなし続けてきた生粋の老舗です。
名物である「元祖大沼だんご」の大きな特徴は、一般的な串団子とは一線を画すその形状にあります。折箱の中に仕切りが設けられ、小さな団子がぎっしりと並ぶ姿は、大沼湖と小沼湖、そして水面に浮かぶ126もの島々を表現したもの。串に刺さないスタイルは、団子を湖面の浮島に見立てた初代の粋な着想から生まれました。
かつてはSLが停車するわずかな時間に、駅のホームで立ち売りされていた歴史を持ちます。車窓越しに手渡された木折の温もりは、令和の現在もそのままの情緒を残し、道南観光の象徴として愛され続けています。