犬のクッシング症候群末期症状と余命|急変の前兆と後悔なき緩和ケア

犬のクッシング症候群末期症状と余命|急変の前兆と後悔なき緩和ケア

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クッシング症候群は「多飲多尿」や「食欲亢進(異常にごはんを欲しがる)」、「脱毛」「太鼓腹(腹囲膨満)」といった比較的緩やかな外見の変化から始まります。しかし、末期を迎えるとそれまでの病相から一転し、生命維持に関わる深刻な身体機能の破綻が次々と表面化します。獣医師が警戒を強める末期の決定的サインは主に以下の4点です。

第一に現れるのが「食欲の完全な廃絶」です。何でも貪欲に口にしていた犬が、好物すら一切受け付けなくなります。これは単なる加齢による衰えではなく、重篤な代謝異常、肝機能不全、腎障害、あるいは高血糖によるアシドーシス(血液の酸性化)が進行している証拠です。24時間以上水分や食事を受け付けなくなった場合、数日から数週間単位での病状急変を想定しなければなりません。

第二に、「安静時における激しい呼吸促迫(パンティング)」です。気温が適温であるにもかかわらず、ハァハァと浅く速い呼吸を絶え間なく繰り返します。腹筋の衰退や肝腫大による横隔膜の圧迫に加え、後述する肺血管の微小な血栓、あるいは肺の石灰化が進行することで換気不全に陥っている状態です。動物病院の臨床現場では、愛犬が深く眠っている際の呼吸数を数える「安静時呼吸数(SRR)」の測定が推奨されており、1分間に40回を超える状態が続く場合は緊急事態と判断されます。

第三に、「進行性の筋融解による完全な歩行不能」が挙げられます。コルチゾールの異化作用(タンパク質を分解する作用)により、太ももや背中の筋肉が削ぎ落とされるように萎縮します。末期になるとナックリング(足の甲を地面に着けてしまう現象)が頻発し、自力での排泄姿勢が保てず、最終的には四肢に力が入らない「寝たきり」へと進行します。

第四に、原因の約8割を占める下垂体性クッシング症候群において、腫瘍が巨大化する「下垂体マクロアデノーマ」による神経症状の出現です。頭蓋内圧が亢進することで、同じ方向にぐるぐると回り続ける旋回運動、壁に頭を押し当てて動かなくなるヘッドプレッシング、虚ろな表情で飼い主の呼びかけに反応しない意識混濁、そして突発的な痙攣発作が見られるようになります。

阿部 裕樹
著者

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。