なぜ単独開催ではなく、北中米3カ国による広域共催という形態が採られたのか。その背景には、急膨張したメガスポーツイベントを1カ国で支えきれなくなった現代のインフラ財政問題があります。
アメリカ・カナダ・メキシコ共催の理由として最も大きいのは、スタジアム新設に伴う巨額の財政破綻リスクを回避することです。アメリカ国内にはNFLで使用される8万人規模の超高規格スタジアムが各地に存在し、既存施設をリノベーションするだけでFIFA基準をクリアできます。そこにサッカー文化の熱狂的な土壌を持つメキシコと、多文化主義を誇るカナダを組み合わせることで、北米大陸全体のスポーツビジネスを一体化させる戦略が結実しました。
一方、熾烈なロビー活動が繰り広げられたW杯2026決勝スタジアム決定の経緯は、世界的な注目を集めました。大本命と目されていたのは、世界最高峰の設備と巨大開閉式ドームを誇るテキサス州ダラスのAT&Tスタジアムでした。しかし、最終的にFIFA会長ジャンニ・インファンティーノ氏らが下した決断は、ニューヨーク近郊に位置するメットライフ・スタジアムの指名でした。
現地メディアの取材データによると、決定打となったのは「世界金融・メディアの中心地であるニューヨークのブランド力」と「欧州・中東・アフリカ市場に向けたテレビ中継のタイムゾーン親和性」でした。公共交通機関のキャパシティやVIPホスピタリティの受け入れ実績において、東海岸の国際都市機能がダラスの最新インフラを上回った形です。