海底トンネルの建設において一般に最も不思議がられるのが、海底トンネルに水が入らない理由と、それを支える海底トンネルの水圧対策です。水深50メートルの海底では、1平方メートルあたり約50トンもの強烈な水圧が全方位から加わります。
この凄まじい水圧を完全に遮断するために、シールド工法では強固な「セグメント」と呼ばれるブロックを円形に組み立ててトンネル外壁を作ります。セグメントの接合部には、水に触れると膨張する特殊な水密ゴムや弾性シール材が何重にも組み込まれており、隙間からの漏水を許しません。さらに、組み立てたセグメントと掘削した地山(じやま)の隙間にセメント系ミルクを注入する「裏込め注入」を行い、トンネル周囲を固い地盤で完全に固着させます。
一方、沈埋工法では「水圧接合」という自然の力を巧みに利用した技術が使われます。沈設した沈埋函同士を引き寄せる際、接合面に取り付けた大型ゴムパッキン(GINAガスケット)の内部から排水します。すると、外側の海水による数百トン単位の水圧が函体同士を強烈に押し付け合い、ボルトなどで締結する以上の力で完全密閉状態を作り出します。
万が一の結露や微細な浸入水に対しても、路面下に排水溝と集水ピット(排水ポンプ室)が張り巡らされており、センサー監視のもとで常時陸上へ汲み上げる二重三重の安全網が敷かれています。