SNSで拡散される完璧な水鏡写真を見て現地を訪れた旅行者から、時に「思っていた風景と違う」という戸惑いの声が聞かれます。そこには、現場を知る者だけが把握している明確な撮影ギミックと環境要因が存在します。
肉眼で普通に立ったまま潮だまりを見下ろしても、周囲の砂地や水底が視界に入り、ウユニ塩湖のような無限の水鏡には見えません。あの幻想的な写真は、「極限のローアングル撮影」によって意図的に生み出されています。
撮影者がスマートフォンや一眼カメラを水面からわずか数センチの高さまで下げ、上下の比率が1対1になる構図を取ることで、手前の水たまりと遠方の海・空が一体化し、足元一面が鏡になったかのような錯覚が完成します。
また、被写体となる人物は潮だまりの奥側の縁に立ち、ポーズを大きく取るのが鉄則です。傘を持ったり、ジャンプしたり、手をつないだりするシルエットは、夕日の逆光によって鮮明な黒い影となり、鮮やかな夕焼け空との対比でドラマチックに浮かび上がります。