角替和枝さんを語る上で欠かせないのが、その破天荒でありながら深い愛情に満ちた母親・妻としての顔です。
ゲーマーとしての素顔と子どもたちへの教育方針
角替さんは芸能界きっての熱心なゲーマーとして知られていました。『ゼルダの伝説』シリーズや『スーパーマリオブラザーズ』、『ポケットモンスター』などを愛当し、夜を徹してコントローラーを握ることも珍しくありませんでした。佑さんや時生さんが幼い頃、宿題をせずにゲームをしていると怒るどころか、「そこは右の壁を爆破するんだよ!」と自ら交代して攻略してしまうほどでした。
しかし、芝居に対しては徹底したリアリズムと厳しさを持っていました。佑さんや時生さんが俳優を志した際、角替さんが授けたアドバイスは「台詞を覚えるな、相手の言葉をちゃんと聞け」という演劇の本質を突いたものでした。「上手に演じようとするな、その場にちゃんと人間としていろ」という彼女の教えは、現在の兄弟の脱力感がありながら芯の太い演技スタイルに直結しています。
義理の娘・安藤サクラとの深い絆
2012年に長男の柄本佑さんと結婚した女優・安藤サクラさんにとっても、角替さんは人生の大きな道標でした。結婚当初、同じ俳優一家に嫁ぐプレッシャーを感じていたサクラさんに対し、角替さんは「サクラちゃん、演技なんてどうでもいいの。ご飯食べて笑って寝てればそれでいいのよ」と声をかけ、肩の荷を降ろさせたといいます。
安藤サクラさんがNHK連続テレビ小説『まんぷく』(2018年)のヒロインオファーを受けた際、出産直後であったため一度は出演を躊躇していました。その背中を強く押したのが角替さんでした。「これはあんたがやるべき仕事。家族みんなで子どもを見るから、あんたは大阪へ行きなさい」。その言葉に背中を押され、サクラさんは名作を完走。角替さんの逝去は同作の撮影期間中でしたが、サクラさんは母の遺志を胸に最後まで気高くヒロインを演じきりました。