戦後の民主的な法治国家において、特進の意味合いは精神主義から生活保障へと大きく舵を切った。現在、防衛省が管轄する自衛隊や、警察庁が統括する全国の警察組織において、特進の意義は極めて実利的な遺族支援に直結している。
最大の理由は、遺族に支給される各種手当や公務災害補償、旧軍人軍属を対象とした遺族恩給や共済年金の算定基準が「最終階級の基本給」に連動している点にある。殉職時に階級が2つ上がれば、給与テーブルが跳ね上がり、遺族年金や特別賞恤金(しょうじゅつきん)の受取額が恒久的に底上げされる。身内を奪われた遺族が路頭に迷わないよう、国家が用意した経済的防壁がこの特進制度の本質だ。