全国一般的なおでんとは一線を画す静岡おでんには、地元で長年培われてきた明確な定義と独自の作法が存在します。基本の5大特徴を押さえておくだけで、現地のカウンターでの体験は何倍も味わい深いものになります。
静岡おでんの象徴といえば、何と言っても黒褐色の煮汁です。牛すじや豚モツのだしに、地元の濃口醤油を継ぎ足しながら煮込み続けるため、スープは驚くほど黒く澄んでいます。見た目ほどの塩辛さはなく、肉の旨味とだしの甘みが凝縮された深みのある味わいが特徴です。そして、すべてのタネに竹串が打たれている点も欠かせないポイント。会計時には店主が皿に残った串を数えて精算する昔ながらのシステムが今も息づいています。
食べる際の絶対的なルールが、小皿に盛られた「だし粉と青のり」をたっぷりと振りかけることです。イワシやサバの削り節の粉末に香り高い青のりをブレンドした特製粉をまぶすことで、濃厚な煮汁を吸ったタネに劇的な風味のアクセントが加わります。さらに、からしを添えて一口頬張れば、だしの旨味と魚粉の香ばしさが口いっぱいに広がります。合わせるお酒には、静岡名物の「静岡割り(深蒸し茶割り)」を指名するのが通の選び方です。