試験問題で最も頻出かつ失点しやすいテーマが「還元性の有無」です。フェーリング液を還元して赤色沈殿(Cu₂O)を生じるか、または銀鏡反応を示すかどうかは、分子内にヘミアセタール構造(-O-CH(OH)-)が存在するか否かで決定されます。
単糖類は水溶液中で環状構造と鎖状構造(アルデヒド基やケトン基をもつ開環構造)の平衡状態にあり、常に還元性を示します。しかし、二糖類になる際に還元性を示す元となるヒドロキシ基がグリコシド結合に関与してしまうと、環が開くことができず還元性を失います。
【還元性の見分け方の法則】
・還元性を持つ二糖類(フェーリング反応陽性):マルトース、ラクトース、セロビオース
・還元性を持たない二糖類(フェーリング反応陰性):スクロース、トレハロース
この区別を一瞬で思い出す語呂合わせが「スト(S・T)は還元なし」(スクロースのS、トレハロースのTは還元性ゼロ)です。
なぜスクロースには還元性がないのでしょうか。スクロースは、α-グルコースの1位のヘミアセタール性ヒドロキシ基と、β-フルクトースの2位のヘミアセタール性(ヘミケタール性)ヒドロキシ基同士が脱水縮合して「α-1,2-グリコシド結合」を形成しています。両方の単糖の還元基が結合に使われてロックされているため、水溶液中で開環してアルデヒド基を再生できず、フェーリング反応陰性となります。
同様にトレハロースも、2分子のα-グルコースの1位同士が結合(α,α-1,1-グリコシド結合)しているため、還元性を示しません。これに対し、マルトースやラクトース、セロビオースは一方のグルコースの1位は結合に使われているものの、もう一方の単糖の1位(還元炭素)がフリーな状態で残っているため、水溶液中で開環して還元性を示します。