2024年に施行された医師の働き方改革以降、多くの大学病院が外来縮小や当直体制の見直しを迫られた。同大学も例外ではなく、一時期は勤務時間の制約と診療レベルの維持という二項対立に頭を悩ませた。
ブレイクスルーをもたらしたのは、タスク・シフト(業務移管)の徹底とデジタルツールの全面活用だった。看護師や診療放射線技師、医療クラークへの権限委譲を進めると同時に、音声認識によるカルテ自動生成システムを全病棟に導入。医師が事務作業に費やす時間は半減した。若手医師の一人は「患者と向き合う本来の時間が戻ってきた。疲れ果てて判断力が鈍るような環境は過去のものになりつつある」と口にする。