「まんまんちゃん」という響きを聞くと、離乳食やご飯を意味する「まんま」を連想する方が少なくありません。しかし、民俗学および言語学的な調査によると、まんまんちゃんの語源は浄土教の根本聖句である「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」にあります。
古くから仏教、とりわけ浄土真宗の信仰が生活に深く浸透していた上方(京都・大阪周辺)では、大人が日常的に「なむあみだぶつ」とお念仏を唱えていました。これが日常会話の中で徐々に縮約され、「なむあみだん」「なむあみだぶ」となり、やがて民間信仰の中で「まんまんだぶ」「まんまんだぶつ」へと転訛していった経緯があります。
幼い子どもにとって「南無阿弥陀仏」や「まんまんだぶ」という発音は口唇の発達上難しいため、親や祖父母が子どもに教え込む過程で、より発音しやすい親愛の接尾辞「ちゃん」を伴った「まんまんちゃん」へと定着しました。つまり、「まんまんちゃん」の意味は「仏様」「阿弥陀如来」「神仏」そのものを指しています。
一方、セットで使われる「あん」という言葉にも固有の意味が存在します。「まんまんちゃん、あんして」「まんまんちゃん、あーん」というフレーズにおける「あん」は、幼児が頭をペこりと下げるお辞儀の動作、あるいは「拝む・手を合わせる」行為そのものを意味する言葉です。大人たちが「仏様にお辞儀をしてご挨拶しなさい」と伝える際の作法が、ギュッと縮まった結果生まれた言葉遣いといえます。