多くの親が直面する「赤ちゃんがずっと起きているように見える」という不安ですが、小児医療や助産現場の臨床データによると、新生児睡眠時間目安は1日あたり合計16〜20時間に及びます。数字だけを見ると大半の時間を眠って過ごしているはずですが、なぜ親側は「全く寝てくれない」と感じてしまうのでしょうか。そこには成人の睡眠構造とは決定的に異なる3つの生理的要因が存在します。
第1の要因は、睡眠サイクルの短さです。大人の睡眠サイクルが約90分であるのに対し、新生児の睡眠サイクルはわずか40〜50分程度と極めて短小です。しかも、そのうち約50%は脳が活発に動いているレム睡眠(動的睡眠)で占められています。この浅い眠りの最中、赤ちゃんは手足をピクつかせたり、薄目を開けたり、かすかな声を漏らしたりします。これを見た親が「起きてしまった」と判断して抱き上げ、結果的に赤ちゃんの自発的な再入眠を妨げて覚醒させてしまうケースが頻発しています。
第2の要因は、生体リズムを司るホルモン「メラトニン」の分泌不足です。産科医療関係者の解説によると、胎盤を通じて供給されていた母体由来のメラトニンは生後数日で減少し、新生児自身の体内時計は生後1ヶ月頃まで昼夜の明暗を識別できません。昼夜逆転は異常ではなく、発達過程における自然な過渡現象です。
第3の要因は胃容量の小ささです。生後数日の赤ちゃんの胃はビー玉からピンポン玉ほどのサイズしかなく、1回に飲める母乳やミルクの量が限られています。エネルギー補給のために2〜3時間おきに空腹で覚醒せざるを得ない身体構造が、新生児寝ない理由の根底にあります。