着物姿の完成度を左右するのは、衿元の決まり具合だ。どれほど高級な生地であっても、胸元が崩れてしまえば印象は台無しになる。そこで第一線で活躍する着付け師や和装スタイリストが口を揃えて重要視するのが、ベルトを取り付ける「位置」と「テンションの掛け方」である。
最大のコツは、両端のクリップを留める高さと強さを均等に保つこと。左右どちらかのクリップが引きつれると、背中の衣紋(えもん)が詰まったり、衿元が歪んだりする原因になる。まず左身頃の内側衿にクリップを留め、身頃の裏を通して反対側の右身頃へと渡す。このとき、アンダーバストより少し下の位置を通すことで、呼吸を妨げずにしっかりとしたホールド感が生まれるのだ。
引っ張りすぎは禁物である。ゴムの弾力を軽く活かす程度の張り具合に設定するのが、一日中着崩れを防ぎながらも苦しくならないプロ直伝の秘密だ。クリップ留めの一工夫で、後ろ姿の美しさまで一変する。