弓弦羽神社が全国区の知名度を獲得した最大の要因は、プロフィギュアスケーター・羽生結弦(はにゅう ゆづる)さんの名前との深いシンクロニシティにあります。神社の名称である「弓弦羽(ゆづるは)」と、選手名である「結弦(ゆづる)」という極めて珍しい漢字の重なりに、初期のファンが「運命的な縁」を感じ取ったのがすべての始まりでした。
発端は2011年春、東日本大震災直後の神戸で開催されたチャリティー演技会に遡ります。あるファンが「羽生選手の力になれば」と神社のお守りを贈ったことを契機に、同年夏、羽生さん本人が初めて弓弦羽神社を参拝。絵馬掛けに直筆の誓いを奉納しました。当時、現場に居合わせた関係者によると、まだ十代半ばだった羽生さんは境内の厳かな空気に深く一礼し、自らのスケート人生と被災地の復興への願いを真摯に筆に込めていたと伝えられています。
その後、2014年ソチ五輪、2018年平昌五輪の直前やシーズン節目にも本人が極秘裏に参拝。ソチ五輪金メダル獲得後に奉納された絵馬には、次のように記されていました。
「皆様の思いが私の背中を押してくれますように。そして、皆様の思いとともに、自分の限界を超えていけますように」
この直筆メッセージは、境内にあるガラスケース付きの特設展示スペース等で大切に保護・公開されており、参拝者たちは彼の足跡と祈りの深さを直接肌で感じることができます。プロ転向後も、アイスショーの成功や新境地開拓を願う数万枚のファン絵馬が境内の回廊を埋め尽くしており、単なるブームを超えた「聖地と表現者の共鳴関係」が今も脈々と息づいています。