本件は一般市民から選出される裁判員裁判によって審理される。これが弁護戦略に大きなプレッシャーと独自の機会を与えている。元首相という要人の命を奪った結果の重大性から、極刑を求める声は根強い。だが、動機の背景にある宗教被害への同情論もまた、世論に深く根を張っている。
日本弁護士連合会が死刑制度の運用や重大事件の量刑基準をめぐり議論を重ねる中、弁護側は裁判員の心証に強く訴えかける方針だ。凶行に至る過酷な環境と被告の孤独を赤裸々に開示し、極刑を回避して有期懲役刑を勝ち取るための緻密なシミュレーションが重ねられている。市民感覚がいかに法解釈と交錯するかが、量刑の天秤を決定づけることになる。