パワーカップルの象徴的な住まいといえば、都心アクセスの良好なタワーマンション購入です。利便性とステータス性を兼ね備えた物件価格は1億円から2億円超へと高騰を続けましたが、この高額物件を成立させる手段として広く浸透したのが「ペアローン」でした。
ペアローンとは、夫婦それぞれが主たる債務者となってローンを契約し、お互いに連帯保証人となる仕組みです。単独では届かない借入限度額を2倍近くまで引き上げられるほか、住宅ローン控除を夫婦それぞれで適用できるメリットがあります。しかし、金融環境が変容した2026年現在、この資金調達法はペアローン破綻リスクという形で牙を剥いています。
最大の懸念は、変動金利の上昇です。わずか0.5%の金利上昇であっても、1億2,000万円を35年ローンで借り入れている場合、月々の返済額は約3万円、総返済額にして1,000万円単位の負担増となります。多くの家庭が返済比率を限界近くまで引き上げて借り入れを行っているため、金利改定の通知が届いた瞬間に家計が赤字に転落するケースが表面化しています。
さらに見過ごせないのが「団体信用生命保険(団信)の片肺飛行問題」です。夫が万が一亡くなった場合、夫名義の債務はゼロになりますが、妻名義の債務はそのまま残ります。それ以上に現実的な危機は、妻が妊娠・出産・育児休暇に伴って休職・減収した際や、過労でキャリアを一時中断せざるを得なくなった局面です。夫婦双方のフルタイム勤務を前提に組まれたローン設計は、片方の車輪が外れた瞬間に立ち行かなくなる極めて脆い構造の上に成り立っています。