除草剤騒動と並んでネット上で頻出するのが、「マヌカハニー独自の強力な殺菌成分そのものが体に害を及ぼすのではないか」という疑念です。その焦点となるのが、一般的な蜂蜜にはほとんど含まれずマヌカハニーに特異的に高濃度で存在するメチルグリオキサール(MGO)です。
メチルグリオキサールは、生体内における糖代謝の過程でも微量に生成されるジカルボニル化合物の一種です。医学分野では、体内の過剰なMGOが高齢化や糖尿病合併症における「終末糖化産物(AGEs)」の形成に関与することが知られており、一部のブログや動画で「AGEsの原因物質=毒性=細胞変異・発がんリスク」と短絡的に結びつけられた経緯があります。
ドレスデン大学(ドイツ)のトーマス・ヘンレ教授らによる長年の食品化学研究、および食品安全機関の臨床データによると、経口摂取されたマヌカハニー由来のMGOが血液中にそのまま移行して全身組織を糖化させる証拠はありません。経口摂取されたMGOは、消化管粘膜を通過する過程や胃酸・消化酵素の働きによって速やかに代謝・無毒化されます。
ピロリ菌やブドウ球菌に対する強力な抗菌活性を発揮するのは消化管内腔という「局所」においてであり、人体を構成する正常な細胞を破壊してがん化を誘発するような毒性機序は認められていません。MGO濃度を示す「MGO 400+」や「MGO 850+」といった高グレード品であっても、規定の摂取目安量を守る限り、毒性学的な危険性を懸念する必要はありません。