銀座水響亭を語る上で欠かせないのが、数々のテレビドラマに登場したロケ地としての輝かしい歴史です。地下空間に広がる幻想的な水と光のコントラストは、映像クリエイターたちにとっても格好の舞台装置でした。
代表格として挙げられるのが、テレビ朝日系の国民的刑事ドラマ『相棒』シリーズです。杉下右京が関係者から話を聞き出す高級バーや、事件の鍵を握る政財界の黒幕たちが密談を交わすラグジュアリーな社交場として、幾度となく画面に登場しました。グラスの氷が触れ合う音と水槽の揺らぎが、心理戦の緊張感を際立たせる演出として見事に機能していました。
さらに、TBS系の伝説的大ヒットドラマ『花より男子』でも、松本潤演じる道明寺司をはじめとする「F4」の優雅で非日常的な日常を象徴するラウンジとして使用されました。セレブリティの密会にふさわしいゴージャスかつ退廃的な大人のムードは、当時の視聴者に強烈な憧れを植え付けました。
その他にも、日本テレビ系やフジテレビ系のサスペンス・恋愛ドラマで「銀座の高級会員制バー」に見立てて撮影されるケースが後を絶ちませんでした。単なる飲食店にとどまらず、平成から令和への端境期における「東京の大人の夜」を象徴するポップカルチャーのアイコンでもあったのです。