時計の針を少し巻き戻そう。2000年代初頭、俳優のアシュトン・カッチャーがメディア露出のたびに愛用し、爆発的なブームを巻き起こしたのがいわゆるトラッカーハットだった。当時はアイコニックな企業ロゴや派手なグラフィックが隆盛を誇ったが、現在進行形のムーブメントは単なる懐古趣味ではない。現代のストリートファッションは、過去のアーカイブを解体し、洗練されたミニマリズムやテック要素を注入して再構築している。
日本国内の文脈において、裏原宿カルチャーを牽引してきた藤原ヒロシがかつて提示した「抜け感」の美学も、いま再び若い世代のクリエイターたちに再解釈されている。Y2Kファッションの潮流に乗って復活したフォームフロントのメッシュ構造は、どこかレトロでありながら、現代のオーバーサイズシルエットやユーティリティスタイルと驚くほど自然に共鳴する。