今年、彼のスケジュールはかつてないほど過密を極めている。伝統的な演目の大役に挑む一方で、気鋭の現代劇演出家とのコラボレーションも決定した。古典の文脈を理解しているからこそできる、現代的な解釈の提示。それは、古いファンを驚かせると同時に、これまで歌舞伎に触れたことのなかった若い世代を劇場へと呼び込む起爆剤となっている。
「伝統は守るものではなく、攻めるもの」。彼の行動からは、そんな強い意志が透けて見える。単なる話題作りに終執しない、確かな技術に裏打ちされた演技力が、批評家たちからも高く評価されている理由だ。