インターネット上のQ&Aサイトやまとめ記事では、保証人問題に関して重大な誤解が事実のように語られているケースが少なくありません。現場の法制度と照らし合わせ、代表的な2つの誤解を正します。
誤解①:「成年後見人を立てておけば入院の身元保証も医療同意もすべて任せられる」
これは法的に完全な誤りです。成年後見制度による入院身元引き受けの現場では、後見人が財産管理や入院契約の代理を行うことはできますが、成年後見人には法的な「医療同意権(侵襲を伴う手術や延命治療に同意する権限)」が一切認められていません。民法および厚生労働省のガイドライン上、医療同意は本人の自己決定権に属する極めて私的な権利とされているためです。したがって、「後見人がいるから病院が求めるすべてのサインを代行できる」と思い込んでいると、手術の直前に現場でトラブルに発展します。
誤解②:「保証人がいなければ生活保護受給者は入院させてもらえない」
これも現場のルールを誤解した俗説です。生活保護受給者の医療費は全額公費(医療扶助)から病院へ直接支払われるため、病院にとって金銭的な焦げ付きリスクは実質ゼロです。保証人がいないからといって福祉事務所が受診を止めることはなく、医療機関側も福祉事務所と連携を取りながら入院手続きを進める義務があります。
では、現場で実際に入院の連帯保証人がいない時の対処法として何が有効なのか。具体的なアプローチは以下の3ステップに集約されます。
- ステップ1:窓口で「頼める親族がいない」事実を正直に伝え、無理な署名を拒絶する。
- ステップ2:「厚生労働省の通知(医政医発0427第2号)にある通り、保証人不在を理由とする診療拒否はできないと理解しております。医療ソーシャルワーカー(MSW)への相談をお繋ぎください」と申し出る。
- ステップ3:身元引受人の代わりに「緊急連絡先(友人、知人、勤務先、ケアマネジャーなど)」を提示し、金銭面は「事前預託金(デポジット)の支払い」や「限度額適用認定証の提示」で合意を取り付ける。