ノベルティ流出の背景を語るうえで避けて通れないのが、組織内部で起きた歴史的な地殻変動だ。司忍(篠田建市)組長が率いる六代目山口組の体制下において、2015年に勃発した神戸山口組との大規模な分裂劇は、裏社会の経済構造を根底から揺るがした。
長引く対立と双方に対する「特定抗争指定暴力団」への指定は、従来の資金源を著しく細らせた。警察の取り締まりが激化し、締め付けが厳しくなるにつれて、下部組織の構成員たちが負担する「上納金」の重圧は一層増していった。こうした経済的困窮が、かつてなら禁忌とされた組織グッズの売却へと構成員を駆り立てる大きな動機となったことは否めない。
分裂と抗争という組織の亀裂が、結果として伝統的な規律や忠誠心を瓦解させ、ノベルティの流出という形で外の世界へと漏れ出している。裏流通市場に溢れる品々は、まさに組織が抱える切実な台所事情と不透明な将来を如実に物語る証拠と言えるだろう。