「オンタイムで集合したはずが、相手の表情が険しい」。こうした違和感を抱いた経験を持つビジネスパーソンは少なくない。原因の多くは、定刻に対する解釈の非対称性にある。ある者にとっては「開始時刻に席に着くこと」であり、別の者にとっては「定刻と同時に議論や作業が開始できる準備状態」を意味するからだ。
日本生産性本部が長年警鐘を鳴らし続けているように、日本企業のホワイトカラーにおける生産性の低迷は、こうした暗黙の齟齬によるタイムロスと無縁ではない。会議が始まってから資料を開き、リンクを探す数分間。それは単なる遅滞ではなく、他者の時間を奪う明確なコストだ。現代において不可欠なビジネススキルとしてのタイムマネジメントとは、約束の時間を守る道徳観ではなく、組織の資本を毀損させないためのリスク管理に他ならない。