現場百回。筆者は実際に奈良県大和郡山市池沢町の昭和工業団地を訪れ、ハウス食品奈良工場の2026年現在の様子を観察しました。最寄りの近鉄橿原線平端駅やファミリー公園前駅から工業団地方面へ歩を進めると、整然と区画された工業エリアの一角に、見慣れた赤と白のブランドロゴを掲げた堂々たる工場建屋が視界に入ります。
工場の周囲には、現在も行き交う原料搬入の大型トラックや製品輸送トレーラーの姿があり、正門の守衛所には警備員が常駐。敷地内からは微かにスパイスの香味が漂い、工場が力強く鼓動している事実を五感で実感させられます。排水処理設備も美しく保たれており、稼働停止した施設特有の荒廃感は微塵もありません。
近隣の運送関係者や工業団地内の他社従業員に話を伺うと、次のような生の証言が得られました。
「ハウスさんの奈良工場が閉鎖? とんでもない、毎日普通に配送トラックが出入りしていますよ。確かに昔に比べれば、特定の菓子のラインが他県へ移ったとかで出入りする業者の顔ぶれが変わった時期はありましたが、工場そのものは大和郡山の大手として今もバリバリ現役です」(近隣物流会社のトラックドライバー) 「小学校の頃、工場見学でできたてのカレーの匂いを嗅いだのが懐かしい思い出です。今は衛生管理が厳しくなって昔のような気軽な見学はやっていないようですが、地元では『ハウスさんがある』という安心感は変わりません」(近隣に住む40代主婦)
これらの証言が示す通り、現地で暮らす人々にとって奈良工場は「過去の遺産」ではなく、「今なお地域と共に歩む現役の事業所」そのものです。