物語の序盤、女王に仕えるキメラアント師団長ハギャとして登場した彼は、その名の通り従順な配下の一人に見えました。しかし、彼の内面には前世の記憶と動物としての本能が深く刻み込まれていました。ハギャの元の動物はライオンであり、生物界の頂点に君臨していた記憶とプライドが、単なる兵隊として生きることを拒絶させたのです。
女王が王(メルエム)を出産した直後に重傷を負い、組織としての統制が瓦解した瞬間、彼は真っ先に独自の行動を開始しました。それまで名乗っていた「ハギャ」という呼称を捨て、自らを「レオル」と改名したのです。このハギャの改名理由には、二つの決定的な動機が存在していました。
第一に、「ハギャ」という名前が女王によって与えられた隷属の記号であったのに対し、「レオル」は自らの意志で選んだ百獣の王の証であった点です。語源的にもラテン語でライオンを意味する「Leo」や王権を想起させる響きを持ち、自らが新たな世界の王となる意思表示でした。第二に、王直属護衛軍であるシャウアプフらと対等に渡り合い、いずれは王(メルエム)すらも出し抜いて自らの王国を築くというマキャベリズム的な野望の具現化でした。
彼は他の短絡的な師団長たちとは異なり、無謀に王へ反旗を翻すのではなく、従順を装いながら実利を回収する狡猾さを備えていました。この冷徹な計算高さこそが、彼を単なる怪物ではなく手強い政治家のような悪役へと昇華させた要因です。