『真夜中ハートチューン』の考察において、多くの読者が陥りがちな最大の盲点は「アポロ=4人のうちの誰か1人」という単独犯(単独配信者)の固定観念です。
作中で描かれるアポロ ラジオ 放送は、中学生が個人で行うには極めてクオリティの高いBGM構成、安定した音響、そして練られたトークスクリプトを誇っていました。ここから浮上しているのが、「4人の共同プロジェクト説(アポロ合議制・交代制)」です。
例えば、企画や脚本をしのぶが書き、BGMや音響セッティングをいこが担当し、実際のトークや歌声を六花やねねが日替わりで担当していたとしたらどうでしょうか。この仮説であれば、4人全員に決定的なアポロの痕跡が存在しつつも、決定打となる単独の証拠が意図的に分散されている理由に完璧な説明がつきます。
また、もうひとつの有力な仮説として「有栖が記憶しているアポロ像自体が、彼の孤独によって美化・統合された幻想である」という視点も存在します。五十嵐先生の過去作でも見られた心理的なツイストが、本作の根底にも仕込まれている可能性は極めて高いと言えます。