藤浪投手の不振をメンタル面だけで片付けることはできません。バイオメカニクスや技術的な観点から分析すると、身長197cmという超大型投手特有の出力調整の難しさと、急速な肉体改造によるズレが浮き彫りになります。
入団当初はしなやかな腕の振りと適度な脱力から150km/h台前半の直球を投げ込んでいましたが、2015年オフから本格的なウエイトトレーニングを導入。ダルビッシュ有投手らとの合同自主トレなどを通じて体重を大幅に増やし、筋力と出力を劇的に高めました。しかし、急激に増えた筋肉量は、繊細なバランスの上に成り立っていたリリースポイントの感覚を狂わせることになります。
特に顕著だったのが、ステップした左足が極端に三塁側へ踏み込む「インステップ」の悪化です。身体の開きを抑えようとするあまり腕が遅れて出てくるようになり、指先がボールに引っかからずにすっぽ抜ける「抜け球」が多発。すっぽ抜けた球が右打者の頭部方向へ飛ぶため、腕を振ることを恐れてさらにフォームを崩すという、技術と精神の負のスパイラルに陥っていったのです。