では、出口付近に薄皮が張っているだけ、あるいは分泌物の固着によってポストの滑りが悪くなっている場合、安全に開通させる手立てはないのでしょうか。医療機関でも推奨される唯一のセルフアプローチが、ピアスホール復活ワセリン活用法を軸とした低侵襲な手技です。
かつて多用された「消毒液を塗りたくる」方法は、正常な細胞組織を傷つけて治癒を遅らせるため、現在の創傷管理基準では避けられています。代わりに用いるべきは、皮膚への刺激が極めて少なく、高い潤滑性と保護作用を持つ高純度白色ワセリン(プロペトやサンホワイトなど)です。
具体的なピアス塞がった復活法の正しいステップは以下の通りです。
まず、入浴時または蒸しタオルを用いて耳たぶを十分に温めます。温熱効果によって局所の血流が改善し、耳たぶの皮膚組織が柔らかく伸展しやすくなります。その後、低刺激の泡石鹸で耳たぶと手を洗浄し、雑菌を洗い流します。
使用するピアスは、太さが0.8mm(20G)前後の細身で、先端が滑らかに丸みを帯びたストレートポスト(純チタン製または医療用サージカルステンレス製)を選びます。先端が尖ったファッションピアスや、ねじ式のボディピアスは組織を削り取る恐れがあるため使用を避けてください。
ピアスのポスト全体と、耳たぶの表裏のホール開口部にワセリンをたっぷりと塗布します。耳たぶを斜め下方に軽く引っ張ってホールのトンネルを直線状に整え、ポストを皮膚に対して直角に当てます。この際、前方に押し込むのではなく、「指先でポストを微細に回転させながら、ワセリンの潤滑力を利用して滑り込ませる」イメージでゆっくりと進めます。
表側から通らない場合、裏側の皮膚に薄皮が張っているケースが多いため、耳の裏側からアプローチするのも有効な手法です。裏側から差し込むと、あっさりと抵抗なく開通することが多々あります。
ただし、ここで最も守るべき鉄則があります。「チクッとした軽微な違和感」を超えて、「明確な痛み」や「出血」が生じた瞬間に即座に手を引くことです。痛みや出血は、すでに既存のトンネルを外れて新たな生体組織を破壊している警告シグナルにほかなりません。